パチンコにまつわるコラム|MGK 宮山技術研究所

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パチンコにまつわるコラム

第1話 「釘のお話」

「どうもベニヤが乾燥すると釘が抜けて困る。 何とか抜けない釘は作れんもんかね。」
私の父がパチンコ釘の製造に関わるようになったきっかけは、ホール経営者のこんなクレームを聞いたのがきっかけだった。大元は、ホール経営者をしていた友人に「パチンコの球を作ってくれ」と頼まれた父が大手ベアリングメーカーにパチンコ球の製造を依頼したところ、「天下の○○ベアリング、腐ってもパチンコの球なんぞ作れん!」と門前払いされてしまった後の話だったというのは家族だけの秘密らしい。(笑)

第1話 「釘のお話」

今では一大産業にまで発展したパチンコも当時はまだ戦後の混乱期。
パチンコ機専用の釘などはなく、建築用の真鍮丸頭15番手(1.83mm径)一寸釘というものを使っていた。もちろん鉄釘だと錆びるし、ステンレス釘など無かった時代のこと。パチンコ機の釘抜け防止を防ぐため、真鍮釘にスパイラルを切るアイデアはこの時に生まれた。

ところが初めは失敗の連続。盤面に隠れる際ぎりぎりまでスパイラルを切った釘はメーカーに大変喜ばれたが、出荷されホールに設置された途端に釘が根元からポキポキ折れてしまって大騒ぎ。
理由は簡単。そう、金属疲労境界面への応力集中だ。

そんな訳で現在製造されているパチンコ機用の釘は、ベニヤ板に埋まる部分の下半分だけにスパイラルが切ってある。
盤面に打たれている状態での見た目や釘の硬さなどは当事とほとんど変わらないが、釘打ちの自動化を境にパチンコ釘の精度は飛躍的な向上が成されている。
美しい液晶画面に目を奪われるのも尤もだが、時には釘の配列や球の弾きにも注目して欲しいものだ。

<文章> 東永製鋲株式会社 代表取締役 金沢正則 様