パチンコにまつわるコラム|MGK 宮山技術研究所

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パチンコにまつわるコラム

第12話 「日々奮闘しています!!」

2004年8月に問題ギャンブラー回復支援施設ワンデーポート施設長の中村努さんから1本の電話をいただいた。
「パチンコのホール業界が依存問題研究会というものを立ち上げているので、具体的に何ができるのかアドバイスなど協力して欲しい」・・・ これがその後の一大事に繋がるとは思ってもいませんでした。

当時の私は薬物依存の回復支援を草の根的に関わり続けてはいたものの、ギャンブリング問題はかじっている程度の経験と知識のみしか持ち合わせていませんでした。そもそもギャンブリング問題は、医療にはあまり登場せず、存在は知っていても出会う機会が少ない問題でした。世界的にも、ギャンブリング問題の対応が整備され始めたのは、割と最近のことで、新たな公衆衛生問題として世界中で試行錯誤が続いている状況です。

ここでいつもの悪い癖で、何もないなら何か作ってみるのも面白いかもしれないと考え、パチンコホールの組合である全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)の依存問題研究会に出かけて、電話相談事業の青写真をプレゼンしてしまいました。それから、あっという間に企画は、現実のものとなり、組織を立ち上げ、相談事業を開始し、気がつくと5年の月日が流れてしまいました。
開設以来5000件(相談者実数は約4000人)を超える相談を受け、セミナーの開催、国の研究への参加などを通して、少なくとも日本全体ののめり込み問題の回復支援を行う社会資源の拡充には貢献できているようです。

活動の当初より意識し続けていることがあります。
一つ目は、私自身の無知の自覚です。パチンコへの過度ののめり込み(依存)を含む問題ギャンブリングに関して、日本には何もデータがなく、誰もその本質は分からっていません。問題はあるが、実態も、本質的な問題が何かもわからない。それ故に対策もない。というのが現状です。思い込みや予断を捨て、問題に向き合って学ぶことにしました。未だに巷で言う依存症と呼ぶべきかどうかすら定かではないのです。日々学び、気づくことが多く、今はこの問題に関わらせていただいたことに感謝しています。
二つ目は、誰も悪者にしないということです。本質が見えない問題が社会に生じた時、不安解消のために誰かを悪者にして、非難を浴びせることがよく起きます。スケープゴートです。問題は常に関係性の中で発生しており、特定の誰かだけが全ての悪の根源であるかのように非難を始めれば、非難された者は、また誰かを非難し、そこには不信と対立だけが残ってしまいます。依存問題は、ひとつ間違えば非難や対立を誘発する材料となり得ます。そうならないように細心の注意を払い、異なる立場の人たちにも問題に将来的に建設的関わってもらえる土俵を作ることを心がけてきました。目指すものは「人に優しい社会資源」の構築なのです。

楽しいことにはリスクが伴う。これは当然のことです。だからこそリスク対策を行い、娯楽の提供者とユーザーが共存していける関係性を築く努力が必要なのです。
遊びの程度からはみ出したら、ちょっとまずいなと感じたら、私たちに相談してください。きっとお役にたてるはずです。
相談は、050-3541-6420まで。

<文章> 特定非営利活動法人 リカバリーサポート・ネットワーク 代表 西村直之 様