パチンコにまつわるコラム|MGK 宮山技術研究所

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パチンコにまつわるコラム

第4話 「セルロイドのお話」

第4話 「セルロイドのお話」

「外枠(後ろ枠)」、これはパチンコファンの方は言うに及ばずホールの方やメーカーの方にですら忘れられそうになる、しかし無かったら非常に困った事になる、パチンコ機にとっては「空気」の様な存在なのです。 なぜなら「もし外枠が無かったら」と想像したら直ぐに合点が行く筈です。どのように内側のナイーブな機械を輸送の衝撃から守るのでしょう。どのようにホールの島に取り付くのでしょう。

私共の会社は昭和32年に株式組織になりましたが、それ以前は個人経営にてセルロイド製品全般の商いを致しておりました。

会社名を聞いて「セルロイドってなんですか?」と聞かれることがあります。セルロイドは石油化学製品の新しいプラスチックの名前だと思われる方もいます。特に30才代以下の方に多いです。セルロイドの説明をしようにも、今ではセルロイドで出来ているあるひとつの製品を除いては、お見せしたり品物を教えて「あー、あれですか」と納得をして頂くことが出来ないのです。50才代以上の方には小学生の頃に使用した鉛筆箱や下敷きがセルロイド製品でしたとお話しすれば理解していただけますし、また下敷きを刃物で削ってアルミの鉛筆キャップに入れ、入れたところを石などで塞いで焚き火の中に投げ入れるとロケットのように飛び出すので逃げたという話などを聞かせてくれる方もいました。現在、日本国内にてセルロイドの生産は行なわれていません。
ダイセル化学工場(株)という会社が兵庫県の網干工場での生産を止め中国の上海に移管してから早や十数年になります。セルロイドの生産は世界的にも今では少なくなりつつあります。私は「セルロイドの生産がなくなると消えてしまうのはどんなスポーツか解りますか?」と聞くことがありますが、すぐにお解りになられる方は少ないです。あなたは解りますか?考えて下さいネ!(答は最後にあります)

セルロイドは現在の石油化学プラスチックが数多く生産されるようになる以前の産物です。セルロイドの原料は植物です。硝酸にセルローズをひたして出来たものに樟脳とアルコールを加えて作った半透明で燃えやすい固形の物質です。

燃えやすいのは物質の中に酸素を含んでいる為で、一度火がつくと爆発的に燃焼する事が特長です。危険物の分類から見ると、一類から六類までの分類で危険度の高い方から二番目の第五類に属しており、五類には他にダイナマイトがあります。昭和の30年代に手に入るセルロイドの色板を使って今のパチンコ機械前面の装飾として使用され、徐々に塗装、スクリーン印刷などにより図柄が施されて機械の役物やゲーム性に合ったデザインになってまいりました。現在ではオフセットUV印刷によりまして高度で精密華美なデザインが印刷され機械のグレードアップに寄与しています。現在ではセルロイド板は使用していませんが業界では今でも「セル柄、セル板」と呼ばれているのです。

今後も社名を変更することなくパチンコ業界の為に、より新しい技術を導入してより良い製品を作って行きたいと思います。

クイズの答え:卓球(ピンポン)
セルロイドの生産が消えるとなくなるスポーツは卓球(ピンポン)です。ピンポン玉はセルロイドで出来た半円の形状の物を二つ貼り合わせて出来ています。セルロイド以外では軽い弾みは得られません。
答え:卓球(ピンポン) ※現在はセルロイド製からプラスチック製のボールへの移行が国際的に行われているようです。

<文章> 株式会社 たからセルロイド 取締役社長 遠藤孝次郎 様